

北欧ジャズは、映画のためにある。
と言ってもいいほど、いわゆる「北欧ジャズ」と言われる音楽はさまざまな風景を描き出す独特の詩情にあふれている。一人ひとりの聞き手が脳裏に浮かぶ映像を楽しむのもいいが、映画とのコラボレーションはきっと一期一会の化学反応を体験させてくれるはず。1920年代のノルウェーをイン・ザ・カントリーはどう描くのか。
メンバー
Morten Qvenild – piano, keyboard
Roger Arntzen – double bass
Pål Hausken – drums
Solveig Slettahjell – vocal
Daniel Wold – 専属エンジニア
In the Country
Morten Qvenild は Susanna & the Magical Orchestra のキーボード・プレイヤー。これまで Jaga Jazzist, Shining, The National Bank, Solveig Slettahjell (Slow Motion Quintet)でも活躍している。 Roger Arntzenは デュオのBallrogg、Shining のメンバーが参加するChrome Hill、またHåvard Stubø Trioでもベースを弾く。Pål HauskenはSusanna のバックを務めたこともあるが、最近では クルト・ヴァイルの音楽を演奏するバンド Music for a While でFarmers Market のStian Carstensen やJaga Jazzist のMathias Eick とともに活躍中だ。バンドは「2004年ベスト・ノルウェー・若手ジャズ・アーティスト賞」、「2012年第11回 インディペンデント・ミュージック賞 ヴィデオ・長編部門」受賞。
2014年9月24日 In The Countryの東京公演レポート
ノルウェーのグループIn the Country + Solveig Slettahjell のライヴが昨日、代官山のライヴハウス「晴れたら空に豆まいて」で行われた。
一言で言うと「圧倒的」だった。「感動」という言葉では軽過ぎる。押しつけがましいところは一切ない。ただ緻密に編まれた曲を練りに練った演奏テクニックとセンスで最初から最後まで気を抜くことなく披露する。「曲を覚えている」のではなく、演奏者の身体として肉体化しているといってもいい。それがたとえその場限りのインプロヴィゼーションだとしても、ステージ上で発生したものはすべてプレイヤー自身の奥深い所に「当然のポテンシャル」として内在している。どんな静かでかすかな音も、それなりの音圧のある大き目の音も、意識と無意識の絶妙なる端境にスッと立ち上がる。一寸の隙もない。
彼等は武士なのだ。In the Country のメンバーが常に身体を鍛え養い、精神と肉体とのバランスに気を使っているのはステージでの真剣勝負に臨むために他ならない。演奏後に食事をしたとしても、深酒を避け、早めに切り上げる。ツアー開催地でのランニングは毎日当たり前にこなす。政治・経済・文化の真摯な話から、冗談満載の笑い話まで、一連のコミュニケーションはいつも切れ味があって飽きさせない。飲食文化をはじめ、芸術・職人芸に富む日本に大いなる興味を抱く。まさに文武両道を地で行っている。
(オフィス大沢 ブログより転載)